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スタートアップカフェ

2021年04月13日

合同会社キキ 九里美綺さん – 長野スタートアップカフェvol.2イベントレポート2/4

起業・創業を身近に感じてもらうためにスタートした「長野スタートアップカフェ」。自身の生き方や働き方の選択肢の1つとして、起業・創業を考える機会を提供してきました。

2021年1月には、長野県立大学とのコラボ公開講座としてオンラインイベントを開催。

『どうして学生のうちに起業したの?〜長野で起業した大学生たちのぶっちゃけ座談会〜』と題し、起業をした現役大学生3名をゲストに迎え、事業やキャリア、そして地域や社会とどのように向き合っているのか、話を聞きました。

2018年4月に開学した長野県立大学では、自主的にプロジェクトを立ち上げたり起業をする学生が増えています。彼らは、なぜ起業という選択肢を選んだのでしょうか。県内外から約50名が視聴したイベントの模様を、全4回でお伝えしています。

第2回となる本記事では、合同会社キキの九里美綺さんの発表をレポートします。事業立ち上げのきっかけとなったご自身の経験や、現在進行中のシェアハウスづくり、そして今後の展開についてお話しいただきました。


九里 美綺(くのり みき)

2001年、長野県松本市出身。長野県立大学グローバルマネジメント学部2年。ゼミではソーシャルビジネスを専攻。合同会社キキの代表社員として、学生が地域で活動するための仕組みや環境づくりに取り組む。現在は長野市内の空き家を改装したシェアハウスを準備中。そのほか、公民連携エージェントであるミリグラム株式会社にてインターンとしても活動している。


活動のなかで感じた「学生がプロジェクトをするハードル」

九里:今年3月に設立する合同会社キキについて、初めて発表させていただきます。まずは、その背景にある自分のこれまでの活動や思いについてお話したいと思います。
大学1年生の頃から、地域で企画されるいろいろな活動に参加してきました。「なにかやりたい」と思いつつも、何をしたいか見えていなかったので、とりあえず色々なものに触れたり色々な人に会ってきたのですが、そのなかで感じたのは、学生が活動を始めるうえでの3つのハードルです。

1つ目は『やりたいことが見つからない』。普通に学校生活を送っていると社会との接点が少ないので、やりたいことが見つからないのは当然だろうなあと思いますし、つながりが持てれば、みんなやりたいことが見つかるのかなあと思います。

2つ目は『アルバイトの時間が取れない』。地域の有志による活動に参加したり自分で企画を始めると、活動経費がかかるうえ、アルバイトの時間が取れず、どんどんお金がなくなっていきます。

そして3つ目は『社会的信頼を理由に踏み出せない』ということなんですけども。プロジェクトや課題解決に対してどんなに意欲を持っていても、学生であることを理由に、大人が自由に活動をさせてくれないケースがあります。対話やマッチングを通じて、お互いの意識の乖離をなくすことができないか、と考えています。

こうしたハードルを解消することができれば、学生はもっと自分の意志で活動を始めることができて、地域の活性にもつながるのでは、と思っていました。

コロナ禍で芽生えた起業の原点

何かアクションを起こせないか考えているなかで、2年生に進学したのと同時に新型コロナの感染拡大が始まりました。コロナの影響で、当たり前に誰かと会って話すというのが当たり前じゃなくなってしまいました。私自身も一人暮らしで寂しい気持ちを感じることが多くなって、みんなで集まってご飯を食べたり、なにかを一緒に考えたりできる場所があったらいいなあ、と妄想を膨らましていましたそこでシェアハウスを始めてみたいと思い、周りの人に話して回っていたところ、一緒にやってくれる人が見つかりました。

私たち2人だけでは動き出せなかったような気もするのですが、サポートしてくれる大人の方々がたくさんいてくれたおかげで、プロジェクトを進められています。これは私も共同経営者の川向も、地域の活動に参加して生まれたつながりが活きたのだと思います。

やるからにはずっと続けて活動を大きくしていきたいから、ちゃんと稼げるようにしたいし、影響力を持っていきたくて。合同会社を立ち上げることにしました。

キキの共同経営者・川向思季さんと(写真右側)。イベント開催後の2021年3月に登記を行い、合同会社としての活動をスタートしました

学生の挑戦を応援する仕組みをつくりたい

私たちは、様々なアプローチから人や情報に出会える環境であったり、見守ってくれる大人たちとのネットワークづくりをはじめ、さきほどお話した学生のハンデを乗り越えられるような仕組みづくりをしていきます。こうした環境があれば、新しいことに挑戦できるような学生や若者が生まれていくのではないかと考えていて、その第一弾企画としてシェアハウスづくりが位置づけられています。
みんなで暮らすことによって、1人暮らしとあまり変わらない家賃でもっと心に余裕が持てるような生活をしてもらいたいと思っています。必要最低限の暮らしをしている人が多いと思うんですけど、それだと挑戦する意欲が湧いてこないでしょうし、たわいもない会話から生まれる発想があるんじゃないかと。そこからやりたいことが見つかったり、お互いの頑張りによって刺激しあえるような環境として、シェアハウスを作っていく予定です。

長野県立大学や信州大学の学生の協力を得ながら、長野市三輪の空き家をセルフリノベーションしました

最後にこれからの活動についてですが、シェアハウス以外の具体的なことは決まっていないです。人と人の距離感やつながり、学生が活動しやすい環境をデザインしたいと思っています。

学生の活動の資金面をサポートできるファンドを立ち上げたり、活動をアピールできるようなポートレート冊子を作ったり、様々な企画を生み出すことで、長野で面白いことをやっている集団を作りたいです。さらには、地域の企業さんや行政と一緒に仕組みを構築して、学生をはじめとした若い人たちが新しく何かを作り出すような土壌を作っていきたいと考えています。

私たち少しずつ、活動が波紋のように周りに影響していって、地域で一緒に活動できるような仲間が増えていったら嬉しいです。

2021年3月にオープンしたシェアハウスの様子。地域や社会を舞台に活動したい25歳以下の女性を対象に、入居者を募集しています

第3回レポートはこちら
古着屋TRIANGLE 松前桃子さん – 長野スタートアップカフェvol.2イベントレポート3/4

第1回レポートはこちら
ODDO coffee 小倉翔太さん – 長野スタートアップカフェvol.2イベントレポート1/4