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2022年04月07日

伴走支援プログラム支援対象者インタビュー:アロマテラピーサロン「aroma Bambino」/代表・清水しおりさん

「長野市スタートアップ成長支援事業」は、長野市内で事業展開を希望する創業予定者や、既に活動する事業者に向けて外部メンターによる伴走支援を行う3ヵ月間のプログラム(伴走支援プログラム)です。
本記事では、プログラムに参加した事業者にインタビューし、現在取り組んでいる事業とプログラム参加前後の変化についてご紹介します。


今回ご紹介するのは、長野市でアロマを使用した施術やアロマテラピーのレッスン、ワークショップを展開する「aroma Bambino」の代表・清水しおりさんです。

子どもへのケアを考え、たどり着いたアロマテラピー

ーまずは清水さんの仕事について教えていただきたいです。
長野市栗田に拠点を構え「aroma Bambino」として活動しています。様々な精油を用いて嗅覚で身体と心の状態を知る「嗅覚反応分析」をメイン事業とし、アロマテラピーを楽しんでもらうためのワークショップの実施や、認定講座の取得に向けてレッスンも行っています。

ーどのようなきっかけでアロマテラピーをお仕事にされたのでしょうか?
元々、会社員として働いていましたが、長男のアレルギーや喘息の症状に悩まされたことがきっかけで、2008年にアロマテラピーの世界に飛び込みました。病院へ連れて行ってお医者さんの言う通りに出された薬を飲ませることしかできず、「これって自分の子どものことなのにすごい人任せにしてるな」とふがいなさを感じてしまったんです。自宅で子どもにしてあげられることがあれば、子どもも自分も身体も気持ちも楽になるなと思い、様々な対応を調べたなかでアロマテラピーに惹かれました。

ーお子さんの体調への対応を考えた結果、アロマテラピーが事業につながったのですね。
子どもって日々、些細なトラブルが多くて。トラブルが起きたときに対応方法を何も知らなければ、私みたいにとりあえず病院に連れて行ったり、病院が閉まってる時間は不安を抱きながら過ごしますよね。そんなときに、なにかひとつでも自宅でできるケア方法を知っていれば、「ちょっと様子を見てみよう」と心の余裕ができるんです。実際、自分で精油の効能について学び、暮らしに取り入れるようになると、子どもが夜中に咳き込んでも香りで呼吸が楽になる様子を実感できたんです。そんな経験から本格的に勉強しはじめ、「アロマの持つ力を私と同じように困っている人に知ってもらえたら、快適に過ごせるはず」と思ったことが事業展開につながったのだと思います。知り合いにも「こんなときはどうしたらいい?」とアロマについて聞かれることが増えてきたのも、事業化を考えるようになったきっかけですね。

自分らしさを出し、BtoBで差別化を図りたい

「aroma Bambino」の主力事業のひとつ、嗅覚反応分析「IMチェック」は対面だけでなくオンラインでの実施も

ー今回、伴走支援プログラムを受けようと思ったきっかけについて教えてください。
創業時からプログラム参加前までは自分と同じ30代〜40代の女性客の割合が高かったのですが、今後は県内でのBtoBの展開も考えていきたいなと思ったんです。自分を含め同業他社を見たときに、子育て世代や更年期など、身体や自分を取り巻く環境によるマイナートラブルで悩んでいる女性をターゲットにされる方が多い印象があって。だからこそ、違うターゲットに響かせたいと思ったんです。
個人向けのサービスは続けつつ、アロマを使って社会に対しての働きかけをできたらという思いがありました。ただ、その気持ちをどうやって事業に結びつけたらいいのかがわからなくて。コロナ禍ということもあり、心身の不調ですぐに病院に行くことが難しい風潮だと感じていました。自分の健康を自分で管理する時代になってきている流れがあるのかなと。

ーBtoBに目を向けたのはなぜですか?
他の事業者との差別化をはかり、より自分らしい事業展開を模索したいと思ったからです。例えば、サービスのひとつである嗅覚反応分析は特許を持つ技術ですが、そもそも特許をとった人の技術なので私自身の技術ではないんですよね。もちろん技術自体はいいものですが、どこか協会ビジネスの一部になってしまっている自分がいて。アロマを自分のツールとして使用し、自分ならではのビジネス展開が理想的です。フレンチの料理人なら、フレンチの基本を一流の店舗で修行してスキルを学び、スキルアップした先に「自分のお店を出したい」って気持ちが芽生えると思います。まさにそんな気持ちで、学んだ基本をもとに自分らしいメニューをつくれたらと思ったんです。

ープログラムへの参加で、清水さんの「自分らしさ」を追求したのですね。
そうですね。ある程度スキルを磨き技術を身につけると、ずっと自分の中で「自分の本当にやりたいことってなんだろう」とか「この先、自分はどんなことを仕事として続けていきたいんだろう」というもやもやした気持ちが生まれて。「アロマをこういう風に使っていきたい」とか「こんな人に知ってほしい」って気持ちはどんどん浮かんでくるけど、実際に事業としての方向性を絞り込めなかったんです。今回のプログラムも「アロマはあれもできるしこれもできる」と自分のやりたいことがまとまらないところからスタートしました(笑)。

プログラムでは抜け落ちていたユーザー側の視点に気づかされた

ー実際にプログラムを受講しているときのことについて教えて下さい。
私の場合「誰に、なにを届けるか」からのスタートだったので、細かくペルソナを設定するところに苦戦しました。最初は「働く男性に届けたい!」とざっくりとした設定をしていて(笑)。今回、メンターの方と面談を重ねる中で「それってアロマじゃなくてもいいよね」「このサービスにそれだけお金だすかな?」と投げかけられ、ユーザー側の視点が抜け落ちていることに気づきました。「今まで自分の届けたいことばかりを言ってたな」と痛感しました。今までターゲットにしていた「20〜30代の女性」は、自分の経験とかぶる部分が多く言葉のチョイスや相手の考えを想像できたんです。ところが、全く異なるターゲットだと「そのサービスにお金を出すのか」という視点から考えないといけなくて。メンターの方とのやりとりでは新たな視点を学ぶことができ、とても勉強になりました。

ー面談を重ねる中で、思考や自分の中のもやもやは整理されていきましたか?
はい、当初の自分は、あらゆる人にアロマを届けたいという気持ちがあり、結構欲張りだったなって思いました(笑)。自分のやりたいことで、かつ事業として成り立つ現実的なラインを絞り込んでいく作業が大変で。メンターとして付いてくださった森山さんは全然アロマに興味のない方だったので、最初はやりとりに苦労しましたが、異なるターゲットに届けるためによかったなと思います(笑)。

ー3ヶ月間のプログラムで結構変わりました?
自分の本当に伝えたいことを自問自答したことで、自分の商品を相手に売るときの表現方法や、事業の視点はとても変わったと思います。香りを通して提供する時間をどう構築していくのか、根底の部分を大切に考えないといけないなと。過去に、他のコンサルの講座に参加したこともありましたが「こういう風にやるといいよ」とか「こういう風に考えましょう」というHOW TOを教えてもらう講座だったので、自分の場合どうすればいいんだろう?と感じて。今回、私の気持ちや考えがごちゃごちゃの状態からのスタートだったので、伴走して付き合って話を聞いていただいたことで思考がクリアになったのは大きな変化ですよね。

最後に今後について伺うと、「長野県内の学習塾や予備校にアプローチし、アロマを使って学習面以外で子どもたちのサポートができたら」と具体的な動きを見据えて活動を進めることを教えて下さいました。

2022年4月からは活動拠点を市街地から長野市・戸隠に移すという清水さん。3ヵ月間のプログラムを受け、新たな事業への一歩を踏み出しています。