「企み特区」
長野で何かを企画している人と、企画したい・応援したい人が集まる月1回のイベント、「企み特区」。長野に移住してきた人・大学生・地元の人など、職場や学校とは違った新たなヒト・モノ・コトにつながるキッカケを毎月ゆるくつくっていきます!
vol.8となる今回は、「何するご開帳?」をテーマに善光寺界隈で活動されている3名をプレゼンターを迎え、学生・社会人と総勢25名で開催。4月から始まった善光寺御開帳にまつわる話や起業についての話をお伺いしました。
今回、ゲストの店舗情報やイベント情報などは、リンクをご覧ください。
〈イベントの流れ〉
1.アイスブレイク/参加者の自己紹介
2.プレゼンテーション1(マリカブルーイング/伊東大記さん、春菜さん)
3.プレゼンテーション2(皎天舎/荻原英記さん)
4.プレゼンテーション3(善光寺庶務部長・宗教法人 長養院 ご住職/小林玄超さん)
5.感想共有
6.トークセッション
プレゼンテーション
1.Mallika Brewing(マリカブルーイング)
伊東大記さん、春菜さん
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もともとは東京でサラリーマン生活を送っていたそうですが、夫婦で約2年間、世界100カ国を旅したのち、台風19号で被災した長野市の豊野地区で災害支援活動をキッカケにさまざまな方と出会い、長野市への移住と起業を決意。
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〈Mallika Brewingのはじまり〉
長野市で被災支援をする中で、農家さんと繋がりを持ったことがキッカケだったそう。特に、ももやりんごの農家さんをお手伝いをすることが多かったとのことで、生食用として販売することが出来ない「もも」や「りんご」の現状を知り、それらを使ってクラフトビールを作りたいなと思ったとのこと。
また、長野市にはクラフトビールを作っているブルワリーがなかったため、クラウドファウンディングで資金集めの末、2021年11月に長野市の善光寺近くに念願のブルーパブ『MallikaBrewing/マリカブルーイング』をオープン。
長野市での起業はさまざまなサポートがあり、スムーズに起業することが出来たとおっしゃっていました。サポートの一部としては、長野市移住者起業支援、長野しんきんの創業カレッジ、商工会議所ながの地域創業スクールなどがあったそう。
今後は、長野の農産物を使ったクラフトビールを作っていきたいと語ってくれました。また、コーヒーも提供しているので、お酒が好きな人もそうでない人も楽しめる場でありたいとのことです。
〈何するご開帳?〉
現在、ブルワリーの建設中だそうで、完成に向けて日々奮闘中。完成がご開帳期間中に間に合えば、全国各地のクラフトビールファン向けに、善光寺ご開帳をアピールしたビールや長野の魅力をPR出来るようなビールを作りたいとのこと。
また今後の計画としては、都内にクラフトビアバーなども作って、違う角度から長野の魅力を伝え、ファンを増やしていきたいとおっしゃっていました。また、3年後には、製造できる量を増やすために工場を持ちたいそうです。そして、工場で製造したビールをECサイトなどでも販売もしていきたいとのこと。
Mallika Brewing 公式Facebook
Mallika Brewing 公式Instagram
2. 皎天舎
荻原英記さん
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もともとは妻である陽子さんが、跡取りとして朝陽館荻原書店で働いていたそう。サラリーマンをしていた荻原さんは、本屋さんを継ぐために4年前に長野に移住し、婿養子に入った。荻原家としては16代目になるとのことですが、この家をあと何世代残せるか、という想いのもと歴史を守りつつ、新たな風を吹き込んでいる。
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〈皎天舎のはじまり〉
「朝陽館荻原書店」は明治初年に創業し150年以上の歴史があったそうですが、2019年の大晦日に閉店したそうです。しかし、六代目になる荻原さんご夫婦が事業継承を経て再建に着手したとのこと。DIYによる内装工事や新会社の立ち上げなど約二年間の準備期間を経て喫茶スペース「皎天ノ刻茶房」、雑貨販売「暮らしの品々 栩栩然」と共に「書肆 朝陽館」をオープン。
閉店前には中学校の職場体験も受け入れたそうで、その中で伝えたのは、「君たちが就職する時には、ここの本屋は残っていないかもしれない」ということ。どうしたらこの先も残る本屋になるのかを考えて欲しいということを、地元の中学生に問いかけたそう。
起業は難しいことではなく、誰でも出来ること。しかし、150年の歴史があろうと簡単に崩れてしまう現実もある。僕らの手で何が残せるのか、さらに次世代に継いでもらえる形で残せるのか、本好きが楽しく寛ぎながら過ごせる空間を目指し、これからの100年を見据えて日々活動しているとおっしゃっていました。
〈何するご開帳?〉
ご開帳はあえて何もせず、「普段通りに営業していきたい」とのこと。
というのも目指しているのは、本が好きな人が本に出会う場、お茶を飲み、本を読みながら静かにゆっくり過ごす場だから。いつもの場を守る、来るべき人が来ない状態がないように配慮しているとおっしゃっていました。
とはいえ、移住して初めて迎える御開帳。すごさをまだ知らないとのことで、どんなものなのかわくわくしているそうです。
3.善光寺
小林玄超さん
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宗教法人長養院のご住職。2022年4月からは善光寺庶務部長を勤めている。信州善光寺は、一光三尊阿弥陀如来を御本尊として創建以来約千四百年にわたり、阿弥陀如来様との結縁の場として、また、人々の心の拠り所として深く広い信仰を得ている。特定の宗派に属さない無宗派の寺であり、全ての人々を受け入れる寺として全国に知られている。
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〈御開帳のはじまり〉
そもそも御開帳とは、通常公開していない仏像等を公開することで、正式名称は「善光寺前立本尊御開帳」といい、公開されるのは分身仏の「前立本尊(重要文化財)」とのこと。
各地のお寺で行う行事でもあり、とあるところでは、12年に1度や50年に1度実施するお寺もあるそう。
また御開帳にも種類があり、「出開帳」という出張して行うものもあるそう。
善光寺の御開帳は、街の人たちの開催したいという声を聞いた商工会議所から依頼を受け、善光寺で会議を開いて開催を決めるとのことで、全国的にもこのスタイルは珍しいそう。
また、街の人とお坊さんが協力して開催しており、お坊さんも抽選大会のスタッフをしたり、りんご販売をしたり、イベントのようだといいます。
こんなに街の人と一緒に長野をPRしているのも、善光寺御開帳の特徴の一つだそうです。
商工会議所からの報告書では、前回の2015年には707万人が参拝に訪れ、経済効果は1137億円だったと報告されているようです。今回は果たして、、どうなるのでしょうか。
〈参拝者へのお願い〉
ご開帳期間中、参拝者にしていただきたいことが3つあるそうです。
1つ目は、「前立本尊」を参拝すること。
この時しか会えない仏様の顔をしっかり見て、悩みや近況報告などお話するようにお参りしてくださいとのこと。
2つ目は、「回向柱(えこうばしら)」を触ること。
松代から善光寺に運ばれた、高さ10mの柱。その柱が仏様の手と繋がっているため、触ることでご利益があるとのことです。
3つ目は、「御印文頂戴(ごいもんちょうだい)」に参加すること。
これは簡単にいうと「善光寺の仏様の判子」を頭にもらうことだそう。そうすることで、亡くなった際にこの判子が目印となり、極楽浄土にいけるとのこと。
御開帳期間中は、長野出身のアーティスト小松美羽さんとコラボした作品展示などもあるそうで、芸術的な部分も楽しんで欲しいと話してくれました。しかし一番大切なのは、お寺参りを「楽しむこと」。アイスクリームを食べてもビールを飲んでもいい。楽しむ心を忘れずに、ぜひ善光寺に訪れて欲しいとおっしゃっていました。
ゲストのプレゼンの後、3名の話を掘り下げていくスタイルでトークセッションを行いました。
トークセッション
ご開帳のこと、善光寺のこと、起業のこと、などについての質問にお答えいただきました。
マリカブルーイングさんや皎天舎さんは移住し起業した中で、「長野の人はいい意味でお節介、地方のコミュニティが狭く繋がりをすぐに持てた」といいます。
また、善光寺さんからは「善光寺のような大きな組織で何かを決定する場合、みんなで話し合いのもと決めていく」といった小話まで聞くことが出来ました。
参加者からは、起業することについての現状を知れてよかった、ご開帳が開催される前に善光寺の歴史やご開帳を楽しむポイントを知れて、より楽しみになったというご意見も。
3名のゲストから参加者に対して「何かやりたいことがあれば一緒にやりましょう!」とのいう声も聞け、ここからの繋がりで、今後何か新たな活動が生まれることを期待しています。
最後に
今年度最後となった企み特区。オンラインと会場参加のハイブリット開催でしたが、多くの方にご参加いただきました。
様々な活動をしているパワフルなゲストたちと、やってみたいことがある参加者たちが交流する時間となった企み特区。
共に刺激しあったり、何かの活動を始めるキッカケになったり、人との繋がりを持てたり、、充実した時間になっていたら嬉しく思います。
最後になりましたが、
企み特区に携わって下さった皆様、本当にありがとうございました。