Innovation

イノベーション創出支援事業

2021年04月01日

【2020地域共創ラボ #04レポート】社会的インパクトを生み出すためのビジネスプランを

2021年2月13日に開催された第4回の地域共創ラボ。今回も「事業脚本家」渋谷健氏のファシリテーションのもと参加者たちがセッションに臨みました。

また、前回に引き続き今回もコロナ渦の影響を受けて、オンラインで実施することに。

そもそも、なぜ“長野で”地域共創ラボを実施するのか?

冒頭、ライトニングトークで渋谷氏は改めて地域共創ラボの背景を語りました。

「地域共創ラボの大きなテーマは、社会変容や持続可能性。従来の経済合理性や社会システムが崩壊に向かっている中、自分たちが生存していく社会を継承していくためには変容しなくてはいけません。その試みを、長野というエリアでトライするのが地域共創ラボです。」

なぜ長野で実施するのか、その理由を続けます。

「グローバルな社会的インパクトを生み出す上で、長野には大きな投資価値があります。なぜなら、世界有数の豊かな資源を有する自然環境があり、そして世界的に有名な善光寺をはじめとする歴史・文化も持っているから。さらには、山間地域での自律経済モデルを生み出せれば、持続可能性の高い社会モデルとして国内外の類似地域へ応用できる可能性が広がっています。」

参加者も、事務局も、チームになって生まれた2つのビジネスプラン

さらに今回は、参加者や事務局がチームを組んだ2つのビジネスプランを発表しました。

ひとつは、今年度の地域共創ラボを継承・発展させた、共創型経営課題解決アプローチ「Next Lab」。従来型の研修のようにコンテンツを提供するだけではなく、「変容」や「成長」にコミットするビジネスモデルを構築しています。

リーダーに対してコーチを提供したり、会社に所属している一人ひとりが実践者として変容していくために組織を超えた「実践人材」コミュニティを形成するなど、社内メンバーが自発的に経営を進化させていくスキームを提供する計画です。

また長野県内の放送局に所属している参加者が社内に働きかけ、地元放送局との連携も進行しています。

「共創ラボの活動を今年限りで終わらせず、持続していくことが必要だと思ったんです。社内外に地域共創ラボの影響力を拡げるために放送局として貢献していきたい、そして自社の変容にもコミットしていきたいと考えています。」と、この参加者は語りました。

もうひとつが、サスティナブル・フード・プラットフォームというビジネスプラン。自然環境、インフラ、生産・加工・流通、サービス、再生資源……「食」は地球やビジネスの生態系が見えやすい領域です。デジタル技術を活かして組織を超えた連携を生み、持続可能な食環境を共創することを目指しています。

実際に大手お菓子メーカーに所属している参加者が長野の発酵文化に注目した研究開発を行っていたり、県内の観光関連の企業や給食関連の企業に所属している参加者たちが新たな商品開発を進めているなど、こちらも社会実装に向けて稼働中です。

「みなさんと持続可能なビジネスをつくる上でのピースとなりたい」

「自社だけでは展開できないスキーム。でも、地域共創ラボのプラットフォームを活かせば実現できる。」

と、プロジェクトメンバーは語りました。

持続可能性がなければ、価値はない。

これらのビジネスプランを踏まえながら、次は対話を通じてそれぞれが行っていることを深めていく場に。今回も前回に引き続き、前半ではシビアな現実を受け入れきる「ダークプロセス」を経験しました。

「続かないなら、できていないのと同じ。
できていないなら、動いていないのと同じ。
動いてないなら、わかってないのと同じ。
分かってないなら、考えてないのと同じ。
考えてないなら、知らないのと同じ。
知らないなら、感じてないのと同じ。
感じてないなら、いないのと同じ。

つまり、続いていなければ、存在意義はない。
自分たちの活動が後世に続かないならば、価値はない。」

と、渋谷氏は語ります。大切なのは、本当にやりきっているかどうか。そこを徹底的に見つめ直していく時間を取りました。

改めてプログラム参加にあたって一人ひとりが設定した向き合うべきテーマを思い出し、「それは本当に世界に必要か?」という問いのもと、自身の内面に起きた反応と向き合います。このシビアな現実に対する反応こそが、本気でビジネスに取り組もうと思ったときに起きる状態。実際にビジネスプランが動き始めている中で得る感覚は、前回までとはまた違ったものになっていることでしょう。

「メンバー同士の関係性を把握できていない中、行き当たりばったりな対応になっている。意志を持った行動ができていないため成果も出せていない……」 自身の反応を観察したとき、参加者からは内面を吐露する場面も。

さらに

「そこに無条件の信頼はあるか?」
「そこに自分の存在理由はあるか?」
「そこに全身全霊で向き合えているか?」

といった問いに向き合う中で自身の内面に生まれている感情に深く寄り添っていきます。そして、自身が陥っている実態を言葉にまとめました。

その後は、周りとの関わりからさらに自身の内面の理解を深めます。

「どんな心理状態にあって、どんな関わりを求めているのか?」
「本心ではどんな状態になることを願っているのか?」
「このままの状態ではどんな結果に行き着いてしまうのか?」
「そんなときの自分の身体・頭・心の状態はどんなものなのか?」

これらの問いに向き合いながら、自分自身に欠けている価値をさらけ出し、最も深い内面にある囚われ=メンタルモデルを言葉にまとめました。

自分の存在意義を実感する

後半では、前回同様、根源からの新たな可能性を描くブライト・プロセスを経験。ダーク・プロセスでとことん向き合ったシビアな現実から新しい可能性を捉え直していきます。

起点になるのは、「名前という鎧すら外した本当の自分自身は何者ですか?」という問い。それぞれが囚われていたメンタルモデルに対してマインドフルネスの手法を用いながら丁寧に受け入れ、自分自身の根源を見つめ直していきました。

そして、渋谷氏からの「自分の存在意義を感じられた人、その存在意義を全うしたら本当に豊かで幸せな自分自身の人生を送ることができそうだと感じた人はリアクションを取ってください」との呼びかけにほぼ全員の参加者が反応しました。

「自分は愛される人だ。だから、存在価値がある。」
「自分は、チャレンジャーだ」

参加者の中からは、そんな力強い言葉も聞かれました。


▲回答フォームに入力された頻出語を分析、可視化。前半(左)では、ネガティブなワードが多かったのに対し、後半(右)ではポジティブなワードが増えている。

「自分自身が本当に創り出したい未来はどんな未来なのか?」
「自分自身が本当に実現すべきことは何なのか?」
「自分自身が本当にできることは何ですか?」
「自分自身が本当にやるべきことは何ですか?」

……

これらの問いにもポジティブな回答が続出しました。

中には「やってやるぞ、という気持ち。今すぐにでも動き出したい。身体が熱くなってきた。」と答える参加者も。そして渋谷氏は、冒頭の問い「それは本当に世界に必要か?」を再度提示。今度はほぼ全員の参加者がポジティブな回答をしました。


▲出現傾向似た単語をまとめると、後半に向けて「できる」という言葉の頻度が急増した。

最後に、今日一日の学びの振り返りを実施。

“ひと”“組織”“事業”の観点で、未来像や取り組むべき課題などを書き出したところで第4回目の地域共創ラボは終了しました。

これから参加者たちは、具体的にビジネスプランをかたちにしていきます。